連続と一様連続
概要
関数が区間上のすべての点で連続であるとは、以下の条件を満たしていることと言える。
$$\forall \epsilon\gt 0,x\in I, \exists \delta(\epsilon,x),\mathrm{s.t.}|x-y|\lt \delta(x,\epsilon)\Rightarrow |f(x)-f(y)|\lt \epsilon $$
一方、一様連続であるとは、以下の条件を満たしていることを言う。
$$\forall \epsilon \gt 0,\exists \delta(\epsilon),\mathrm{s.t.} \forall x\in I, |x-y|\lt \delta(\epsilon)\Rightarrow |f(x)-f(y)|\lt \epsilon$$
論理式の順番を入れ替えているだけだがこれらの2つには大きな違いがある。この連続と一様連続だが、一様連続のほうが性質としては強い。というのも、がに依存しているかという点で異なっており、一様連続の場合はをに依らずに決めることができるのである程度の融通が聞くからであると考えたらいいだろう。
とりあえず連続だが一様連続でない例を挙げておこう。例えばとして、(開区間)としておくと、この関数は明らかに連続であるが、とでもしておいた場合、を(区間に収まる程度の)どのような値にしても、とでも置くと、だが、となってしまう。*1
有界閉区間上での挙動
実は有界閉区間上で定義された関数の場合、連続と一様連続は同値となる。これを証明しよう。
としておく。背理法で示したいが、一様連続のほうが性質として強いことは既知であるため、このが連続だが一様連続でない場合を考える。すると一様連続の式より、以下の論理式が真となることがわかる。
$$\exists \epsilon \gt 0, \forall \delta \gt 0,\exists x,y\in I, |x-y|\lt \delta \land |f(x)-f(y)|\geq \epsilon$$
この論理式のは何者にも依存していないため、これを以降は定数として扱おう。このとき、とでもしたとき、という数列を取ることができて、でありかつとすることができる。注意してほしいのは、これらの数列が収束するかどうかはまだわからないということである。しかし有界であるので、ボルツァーノワイエルシュトラスの定理により、収束する部分列が存在するということがわかる。
つまり、という部分列が存在して、これはに収束する。*2
という収束する部分列を取ることができたが、が収束するかはわかっていないことに気をつけてほしい。しかし、も有界な数列であるため、ここから更に部分列を取ることができる(つまり、部分列の部分列を取る!)。よって、という点列を取ることができてこれが収束するように取ることができる。この収束先をとしておこう。このとき、もに収束することがわかる。
このとき、であるため、はさみうちの原理によりであることがわかる。
また、は連続関数であるため、となるが、さきほどの論理式の極限をとってとなるが、これはに矛盾する。よって「連続だが一様連続でない関数の存在の仮定」が間違いであることが分かる。よって有界閉区間においては、一様連続と連続が同値であることが証明された。
何が言いたいのか
先程の証明は難しいが、*3結局何が言いたいのかというと、記事冒頭で述べた論理式を思い出してほしい。そしてそこで出てきたを関数であると解釈する。
すると、連続においては、
$$\exists \delta(x,\epsilon),|x-y|\lt \delta(x,\epsilon) \Rightarrow |f(x)-f(y)|\lt \epsilon$$
であり、一様連続のときには
$$\exists \delta(\epsilon), \forall |x-y|\lt \delta(\epsilon)\Rightarrow |f(x)-f(y)|\lt \epsilon$$
となる。
関数が連続でかつ有界閉区間上で定義された場合、次の上限値が存在すると考えることができる。
$$\sup_{x\in I}\delta(x,\epsilon)\equiv_{\mathrm{def}}\delta^{*}(\epsilon)$$
つまり、区間上でを移動した場合のの上限値をでもすれば、このをそのまま一様連続の式に当てはめることができる。そのような視点で考えた場合、有界閉区間上で連続と一様連続が同じものであることも明らかなものと考えることができるだろう。