パーセバルの定理

概要

パーセバルの定理とは、もとの関数のフーリエ級数と、積分の間に成り立つ等式のことである。

2018年8月7日追記:以下の記事も参照

 

shakayami-math.hatenablog.com

 

主張

{f}{[-\pi,\pi]}上で定義された連続関数とする。このとき、

{f}フーリエ級数展開が次のような式で表すことができると仮定する。

$$f(x)=\frac{a_0}{2}+\sum_{n=1}^{\infty}\left[a_n\cos{(nx)}+b_n\sin{(nx)}\right]$$

このとき、以下の公式が成り立つ。

$$\frac{1}{\pi}\int_{-\pi}^{\pi}|f(x)|^2dx=\frac{|{a_0}|^2}{2}+\sum_{n=1}^{\infty}(|{a_n}|^2+|{b_n}|^2)$$

証明

もとの積分を無理やりフーリエ級数の形に変形する。すると以下のような形になる。

$$\frac{1}{\pi}\int_{-\pi}^{\pi}\left|\frac{a_0}{2}+\sum_{n=1}^{\infty}\left[a_n\cos{(nx)}+b_n\sin{(nx)}\right]\right|^2dx$$

三角関数の直交性より、{\sin^2{(nx)},\cos^2{(nx)}}の項と定数項以外はすべて積分すると0になるため取り除くことができる。よって生き残ったものだけをかき集めると以下の式のようになる。*1

$$=\frac{1}{\pi}\left[\int_{-\pi}^{\pi}\frac{{|a_0|}^2}{4}dx+\sum_{n=1}^{\infty}\int_{-\pi}^{\pi}{|a_n|}^2\cos^2{(nx)}+{|b_n|}^2\sin^2{(nx)}dx\right]$$

 {\sin^2{(nx)},\cos^2{(nx)}}{[-\pi,\pi]}上で積分すると{\pi}になるため、この式は

$$=\frac{1}{\pi}\left[2\pi \frac{{|a_0|}^2}{4}+\pi\sum_{n=1}^{\infty}\left({|a_n|}^2+{|b_n|}^2\right)\right]$$

$$=\frac{|a_0|^2}{2}+\sum_{n=1}^{\infty}\left({|a_n|}^2+{|b_n|}^2\right)$$

となる。

応用

具体的な関数についてどうなるかを考えてみよう。ここでは{f(x)=x}とおいた場合を考えてみる。まずはフーリエ級数を求める必要があるが、

$$a_n=\frac{1}{\pi}\int_{-\pi}^{\pi}x\cos{(nx)}dx=0$$

と、

$$b_n=\frac{1}{\pi}\int_{-\pi}^{\pi}x\sin{(nx)}dx=\frac{2(-1)^{n+1}}{n}$$

は、計算によって求めることができる。

よって、

$$x=\sum_{n=1}^{\infty}\frac{2(-1)^{n+1}}{n}\sin{(nx)}$$

となるため、パーセバルの定理により

$$\frac{1}{\pi}\int_{-\pi}^{\pi}x^2dx=\sum_{n-1}^{\infty}\frac{4}{n^2}$$

である。また普通に積分することで、

$$\frac{1}{\pi}\int_{-\pi}^{\pi}x^2dx=\frac{2\pi^2}{3}$$

というように具体的な値を求めることもできる。よってこれらの2つの式を合わせることにより、

$$\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^2}=\frac{\pi^2}{6}$$

という結果を求めることができる。(参照:バーゼル問題)

 

*1:本当はここで積分と極限の交換操作のために一様収束性を示さなくてはいけない。