線形写像に対応する内積
前提
ベクトル空間と内積に関する問題であるため、以下の記事を場合に応じて参照してみると良いかもしれない。
問題
に対して内積を定める。このとき、任意のという線形写像に対して、あるが存在して、という関数等式が成り立つことを示せ。
解答
を実際に構成する。
まずはというの基底に対して、グラムシュミットの正規直交化法を適用させることで、とに対する正規直交基底を作る。このとき、であることに注意する。*1
このとき、としたとき、を以下のように定める。
$$w=x_1v_1+\ldots+x_nv_n$$
これが条件を見対していることを証明する。
適当にの元を取ってきたとき、これはの一次結合で表現することができる。よってこのとき、
$$v=a_1v_1+\cdots+a_nv_n$$
という形で表現することができる。このとき、
$$f(v)=a_1f(v_1)+\cdots+a_nf(v_n)$$
$$f(v)=a_1x_1+\cdots+a_nx_n$$
となる。また、
$$\langle v,w\rangle=\langle \sum_{i=1}^{n}a_iv_i,\sum_{j=1}^{n}x_jv_j\rangle$$
より、
$$\langle v,w\rangle=\sum_{i=1}^{n}\sum_{j=1}^{n}a_ix_j\langle v_i,v_j\rangle$$
$$\langle v,w\rangle=\sum_{i=1}^{n}\sum_{j=1}^{n}a_ix_j\delta_{ij}$$
クロネッカーのデルタが係数に入っているため、の部分だけが残る。よって、
$$\langle v,w\rangle=\sum_{i=1}^{n}a_ix_i$$
という形になり、このとき、
$$f(v)=\langle v,w\rangle$$
という等式が成立する。