2018-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ボルツァーノ=ワイエルシュトラスの定理

概要 有界な数列は収束する部分列を持つ、ということを主張している定理である。この定理を証明するにあたって、 shakayami-math.hatenablog.com で紹介した定理を使っているのでその記事を参照するといいだろう。 また、部分列とはであって、を満たす自然数…

有界で単調増加な数列は収束する

概要 これは実数の連続性の公理から導くことができる定理である。コーシー列と収束性が同値であることを示す過程でもよく使われるが、論法を使わないと証明できないため、高校までの数学に出現することはなく、大学数学で初めて出てくる定理とするべきだろう…

ε-N論法

概要 論法とは、数列の極限を定式化したものである。よって極限に関する諸定理を証明することができるようになる。 定義と軽い説明 であることを次のように定義する。 $$\forall \epsilon >0, \exists N\in\mathbb{N},\mathrm{s.t.}\ n\geq N \Rightarrow |a…

ベクトル空間の内積

はじめに この記事はベクトル空間の内積について解説している。ベクトル空間についての知識は既知としているため、知らない場合や忘れてしまった場合には以下の記事を参照するといいだろう。 shakayami-math.hatenablog.com 内積の定義 をベクトル空間とする…

ベクトル空間のまとめ

はじめに ベクトル空間とは、線形性を一般化したものと考えていいだろう。大学の学部で習う線形代数は何も知らないで最初だけ見た場合、行列の計算について論じているように感じてしまうが、ベクトル空間(=線形空間)抜きで線形代数は語れないと個人的には…

実数の連続性

導入 大学はじめの微分積分学では、最初に実数をきちんと定義する作業がある。実数を定義付けするときに大きく分けて3つの要素をまず最初に約束する。その約束とは 実数は可換体(≒四則演算ができる集合)である。 実数は全順序集合+α*1(≒不等号がちゃんと…

中間値の定理

概要 中間値の定理といえば高校数学の数学IIIに出てきて、証明はされずに自明という扱いをされてそのまま使われている定理である。しかし大学の一年前期くらいにやる微分積分学の授業で論法によって極限がきちんと定義された状態になると、証明できる定理と…