2020-01-01から1年間の記事一覧

五次方程式は解けない?

概要 数学のネタで、「五次方程式は解けない」というものがある。 しかしみたいなのはという解を導き出すことができるため、「という五次方程式は解くことができる」ということで正しくないのである。 なぜ「五次方程式は解けない」みたいなことが言われるの…

多変数関数の極値判定

注意 この記事では、分かりやすさのために一部厳密性を犠牲にしている部分があります。 厳密でない部分が来た場合には脚注等でなぜ厳密でないかを書きます。 定理 という級関数がある。 これがで極値を持つ条件は まずであること としたとき、 ならば極値で…

超数理能力問題~ロピタルの定理を用いて、この極限値を求めて下さい~

注意 ロピタルの定理を用いません 問題 超数理能力問題 ロピタルの定理を用いて、この極限値を求めて下さい $$\lim_{x\to\frac{\pi}{2}}\frac{-4x^2+\sqrt[\frac{\pi}{x}]{16\pi^4}+3e\cos{2x}\sin{2x}-3!\pi x-5\pi\sin{x}}{-2e^{\pi}\cos{(2x+\pi)}+2x^2-3…

収束定理が使えない例-その2

概要 ルベーグの収束定理が適用できない問題の例を紹介し、どうやって解くのかを説明する 問題 $$\lim_{R\to\infty}\int_{0}^{\pi/2}Re^{-R\sin{\theta}}d\theta$$ を求めよ。 考察 という置換をしてみる。するとより、 である。よって $$\lim_{R\to\infty}\…

収束定理が使えない例-その1

概要 ルベーグの収束定理を適用させるためには、任意の自然数nについて一様に可積分関数で上から抑えられなくてはいけない。それができないタイプの問題を紹介する。 問題 以下の極限を求めよ $$\lim_{n\to\infty}\int_{0}^{1}\sqrt{1+n^2x^{2n-2}}dx$$ 収束…

同値関係と同値類

概要 同値関係・同値類についての解説と例を紹介します。 概要 定義 注意点 性質 同値な性質 商写像 位相構造 具体例 三角形と相似 写像 群(剰余群) 環とイデアル(剰余環) ベクトル空間(商線形空間) 商体 ホモトピック ホモトピー同値

実数とは何か

導入 ・実数とは無理数と有理数を合わせたものである ・無理数とは、実数のうち有理数ではないものである*1 と堂々巡りになってしまうようでは良くないので、実数とは何かについて説明していこう。 余談 ところで、高校数学では堂々巡りの定義をしているとい…

無理数の判定法

概要 実数が無理数であることの必要十分条件は 任意のに対して $$0\lt \left|\alpha-\frac{q}{p}\right|\lt \frac{\varepsilon}{p}$$ を満たす有理数が存在することである これについて詳しく解説していこうと思います。 必要性の証明 が有理数であるときに…

ε-δ論法とε-N論法

概要 ε-δ論法,ε-N論法は極限の概念を厳密に定義したものである。 解析学をやる上での基本中の基本である 定義 極限については数列の極限と関数の極限の2種類がある ・数列の極限に対してはε-N論法 ・関数の極限に対してはε-δ論法 で極限が定義される。 数列…

オイラーの公式

概要 オイラーの公式といえば $$e^{ix}=\cos{x}+i\sin{x}$$ という形が有名だが、これがどういうことについて解説する。 最初に これが何をやっているかというと、指数関数を複素数上でも使えるように拡張するとどうなるかについて考えた結果できたものであ…

頭脳王2020の物理

頭脳王2020の物理の問題 (東京からパリまでのにボールを投げる場合の問題) について 仮定では地球が平面としていたが、地球の丸みを考えた場合どうなるかについて考察してみた。

ルベーグ積分の使用例③

概要 ルベーグ積分の使用例として、ある問題を解説しようと思います。 ちなみにこれは自作問題です 問題 をσ加法族としてを上の測度とする。 ここで、を、とする。 (1) が上の測度であることを示せ (2) を可積分関数としたとき、を求めよ

ルベーグ積分の使用例②

概要 ルベーグ積分の使用例として、ある問題を解説していきたいと思います。 問題 を測度空間とする。上の可測関数の列があって、に各点収束する。を満たす実定数について $$A_n=\{x\in X| |f_n(x)|\leq c |f(x)|\}$$ と定めたとき、 $$\lim_{n \to\infty}\i…