2018-01-01から1年間の記事一覧

写像で間違いがちなアレ

注意 この記事では証明をあまり詳しくやっていない。証明を詳しく知りたいという人は他のサイトを当たって欲しい。(ネットでなら大学が公開しているpdfを見るといいだろう) 問題 早速だが問題である。 という写像とという部分集合を持ってきた時、次のうち成…

有限表現可能について

前提 群論についての基本的なこと(群、部分群、準同型など)を知っていればOK ここでは、有限表現可能が"何をしようとしているのか"について説明するのが主な目的であり、その過程で有限生成にも軽く触れようと思っている。 生成とは を群としたとき、を任…

線形写像に対応する内積

前提 ベクトル空間と内積に関する問題であるため、以下の記事を場合に応じて参照してみると良いかもしれない。 shakayami-math.hatenablog.com shakayami-math.hatenablog.com 問題 に対して内積を定める。このとき、任意のという線形写像に対して、あるが存…

内積からなる行列が正則となる

前提 この記事を見るにあたっては、線形代数のベクトル空間や内積の知識が要求される。よって以下の記事を適当に参照すればいいだろう。 shakayami-math.hatenablog.com shakayami-math.hatenablog.com 問題 を有限次元ベクトル空間として、とする。このとき…

次元が同じなら同型

概要 ベクトル空間が同型であるとは、線形写像であってかつ全単射写像であるもの(=同型写像)が存在することをいう。群の場合は位数が同じでも同型とは限らないが、*1ベクトル空間の場合では話はもっと単純になり、次元が同じであることが同型であることの…

三角関数の直交性とフーリエ級数

概要 を上で定義された連続関数とする。この関数を三角関数の無限和で表すことができた場合、以下のような形になるはずだ。 $$f(x)=\frac{a_0}{2}+\sum_{n=1}^{\infty}\left[a_n\cos{(nx)}+b_n\sin{(nx)}\right]$$ ここでなぜをで割っているかについては、読…

対数微分法

概要 対数微分法とは、の導関数を求めるときに、の微分を経由して求める方法である。 例題 例えば、次の関数を微分することを考える。 $$f(x)=x^x$$ これを微分する前に、自然対数をかけたものの微分を考えてみる。 $$\log{f(x)}=x\log{x}$$ より、 $$\frac{…

パーセバルの定理

概要 パーセバルの定理とは、もとの関数のフーリエ級数と、積分の間に成り立つ等式のことである。 2018年8月7日追記:以下の記事も参照 shakayami-math.hatenablog.com 主張 を上で定義された連続関数とする。このとき、 のフーリエ級数展開が次のような式で…

ベータ関数

ベータ積分は積分を使うことで計算できる関数であり階乗を使った形で表すこともできる。そこまでは高校数学の範囲内でも示すことができるが、もしベータ積分の定義域を無理やり実数の場合に拡張したらどうなるかをガンマ関数の話と合わせて書いた。

連続と一様連続

概要 関数が区間上のすべての点で連続であるとは、以下の条件を満たしていることと言える。 $$\forall \epsilon\gt 0,x\in I, \exists \delta(\epsilon,x),\mathrm{s.t.}|x-y|\lt \delta(x,\epsilon)\Rightarrow |f(x)-f(y)|\lt \epsilon $$ 一方、一様連続…

次元定理

概要 次元定理とは、線形空間の核と像、次元にまつわる等式である。以下の記事も場合に応じて参照すればいいだろう。 shakayami-math.hatenablog.com 主張 を有限次元ベクトル空間として、を線形写像とする。このとき、次の等式が成立する。 $$\dim \mathrm{…

ボルツァーノ=ワイエルシュトラスの定理

概要 有界な数列は収束する部分列を持つ、ということを主張している定理である。この定理を証明するにあたって、 shakayami-math.hatenablog.com で紹介した定理を使っているのでその記事を参照するといいだろう。 また、部分列とはであって、を満たす自然数…

有界で単調増加な数列は収束する

概要 これは実数の連続性の公理から導くことができる定理である。コーシー列と収束性が同値であることを示す過程でもよく使われるが、論法を使わないと証明できないため、高校までの数学に出現することはなく、大学数学で初めて出てくる定理とするべきだろう…

ε-N論法

概要 論法とは、数列の極限を定式化したものである。よって極限に関する諸定理を証明することができるようになる。 定義と軽い説明 であることを次のように定義する。 $$\forall \epsilon >0, \exists N\in\mathbb{N},\mathrm{s.t.}\ n\geq N \Rightarrow |a…

ベクトル空間の内積

はじめに この記事はベクトル空間の内積について解説している。ベクトル空間についての知識は既知としているため、知らない場合や忘れてしまった場合には以下の記事を参照するといいだろう。 shakayami-math.hatenablog.com 内積の定義 をベクトル空間とする…

ベクトル空間のまとめ

はじめに ベクトル空間とは、線形性を一般化したものと考えていいだろう。大学の学部で習う線形代数は何も知らないで最初だけ見た場合、行列の計算について論じているように感じてしまうが、ベクトル空間(=線形空間)抜きで線形代数は語れないと個人的には…

実数の連続性

導入 大学はじめの微分積分学では、最初に実数をきちんと定義する作業がある。実数を定義付けするときに大きく分けて3つの要素をまず最初に約束する。その約束とは 実数は可換体(≒四則演算ができる集合)である。 実数は全順序集合+α*1(≒不等号がちゃんと…

中間値の定理

概要 中間値の定理といえば高校数学の数学IIIに出てきて、証明はされずに自明という扱いをされてそのまま使われている定理である。しかし大学の一年前期くらいにやる微分積分学の授業で論法によって極限がきちんと定義された状態になると、証明できる定理と…