線形代数学

多変数関数の極値判定

注意 この記事では、分かりやすさのために一部厳密性を犠牲にしている部分があります。 厳密でない部分が来た場合には脚注等でなぜ厳密でないかを書きます。 定理 という級関数がある。 これがで極値を持つ条件は まずであること としたとき、 ならば極値で…

正定値行列について

概要 正定値行列について適当に*1解説をします。また、ここで出てくる行列は実数係数です 概要 定義 同値な定義 内積との一対一対応 平方根の存在 行列式 分散共分散行列 定義 n次対称行列が半正定値であるとは任意のに対して $$x^{\top} Ax\geq 0$$ となる…

整数係数の逆行列

問題 をすべての成分が整数の次正方行列とする。このとき次の2つが同値であることを示せ。 行列式が±1である 逆行列が存在して、逆行列のすべての成分が整数である 解答 1⇒2 行列式が0でないので正則。よって逆行列は存在する。 余因子行列を利用する。 次正…

線形写像に対応する内積

前提 ベクトル空間と内積に関する問題であるため、以下の記事を場合に応じて参照してみると良いかもしれない。 shakayami-math.hatenablog.com shakayami-math.hatenablog.com 問題 に対して内積を定める。このとき、任意のという線形写像に対して、あるが存…

内積からなる行列が正則となる

前提 この記事を見るにあたっては、線形代数のベクトル空間や内積の知識が要求される。よって以下の記事を適当に参照すればいいだろう。 shakayami-math.hatenablog.com shakayami-math.hatenablog.com 問題 を有限次元ベクトル空間として、とする。このとき…

次元が同じなら同型

概要 ベクトル空間が同型であるとは、線形写像であってかつ全単射写像であるもの(=同型写像)が存在することをいう。群の場合は位数が同じでも同型とは限らないが、*1ベクトル空間の場合では話はもっと単純になり、次元が同じであることが同型であることの…

三角関数の直交性とフーリエ級数

概要 を上で定義された連続関数とする。この関数を三角関数の無限和で表すことができた場合、以下のような形になるはずだ。 $$f(x)=\frac{a_0}{2}+\sum_{n=1}^{\infty}\left[a_n\cos{(nx)}+b_n\sin{(nx)}\right]$$ ここでなぜをで割っているかについては、読…

次元定理

概要 次元定理とは、線形空間の核と像、次元にまつわる等式である。以下の記事も場合に応じて参照すればいいだろう。 shakayami-math.hatenablog.com 主張 を有限次元ベクトル空間として、を線形写像とする。このとき、次の等式が成立する。 $$\dim \mathrm{…

ベクトル空間の内積

はじめに この記事はベクトル空間の内積について解説している。ベクトル空間についての知識は既知としているため、知らない場合や忘れてしまった場合には以下の記事を参照するといいだろう。 shakayami-math.hatenablog.com 内積の定義 をベクトル空間とする…

ベクトル空間のまとめ

はじめに ベクトル空間とは、線形性を一般化したものと考えていいだろう。大学の学部で習う線形代数は何も知らないで最初だけ見た場合、行列の計算について論じているように感じてしまうが、ベクトル空間(=線形空間)抜きで線形代数は語れないと個人的には…