2019-01-01から1年間の記事一覧

正定値行列について

概要 正定値行列について適当に*1解説をします。また、ここで出てくる行列は実数係数です 概要 定義 同値な定義 内積との一対一対応 平方根の存在 行列式 分散共分散行列 定義 n次対称行列が半正定値であるとは任意のに対して $$x^{\top} Ax\geq 0$$ となる…

整数係数の逆行列

問題 をすべての成分が整数の次正方行列とする。このとき次の2つが同値であることを示せ。 行列式が±1である 逆行列が存在して、逆行列のすべての成分が整数である 解答 1⇒2 行列式が0でないので正則。よって逆行列は存在する。 余因子行列を利用する。 次正…

ルベーグ積分の使用例①

概要 ルベーグ積分の使用例として、ある問題について解説しようと思います。 この問題は測度論の演習問題によく出る気がします。 問題 を測度空間として,を非負な可積分関数とする. このとき,測度を新たに $$\nu (A)=\int_A g(x) d\mu(x),(A\in\mathcal{F})$…

代数学の基本定理

???「真実はいつもひとつって言うけど、2次方程式の解は2つあるじゃん」 概要 代数学の基本定理の証明します。ここでは 複素解析を使った証明を2つほど紹介します。 主張 とする。を複素数係数の次多項式とする。つまり $$f(z)=a_nz^n+a_{n-1}z^{n-1}+\cd…

準同型定理(第一同型定理)

代数をやっている人にとっての呼吸器官と言われている準同型定理の解説をしようと思います。 ※ここで説明するのは群についての準同型定理であって、環にとっての準同型定理はまた別にあります。 目次 群の定義 群の例 群の性質 部分群 部分群の例 正規部分群…

最大値最小値の定理

概要 を有界閉区間としたとき、上で定義された連続関数は最大値と最小値をもつ。つまりあるがあって、全てのについて、となる。 証明 最大値の方だけ証明すれば十分である。なぜならについて同じように最大値の存在を証明すればそれはの最小値になるからであ…

無限小数

概要 実数とは何かという問に対して、たいていの人は「無限小数で書ける数」ということを思い浮かべるかもしれないが、残念ながらそれでは不十分であるので無限小数とは何かについて考えなければいけないのである。 また、この記事は10進法(=2×5進法)で書か…

等号は常には成り立たない

概要 受験数学の問題を解いているときにこの記事のタイトルをそっくりそのまま書いた人は少なくはないだろう。積分や不等式が絡む問題でよくこの言葉の使い回しが出てくる。そこで、この記事では「等号は常には成り立たない」という言葉の裏にどのような論理…

Ravi変換

概要 不等式の問題にはたまに、「を三角形の辺の長さとするとき…」という制約条件が出てくる。この制約は面倒くさいものである。何故ならは制約を満たすが、は制約を満たさない。後者の場合はもちろんが長すぎて三角形が作れないからなのだが、三角形が作れ…

地球を貫通する穴を通る物体の運動

はじめに この記事を書くことになったきっかけは先日放送していた頭脳王というテレビ番組である。その中で地球を貫通する穴を通る物体の運動についての問題が出た。このような条件の場合、結論から言うと物体は自由落下せずに単振動をするという興味深い結果…